潜在特徴関係モデルを用いた時系列金融ネットワークの解析と予測†
著者†
伊藤翔太郎(神戸大学), 江口浩二(神戸大学)
概要†
近年,社会ネットワークや金融ネットワークなどの関係データの可用性が増加しており,それらのデータを統計分析に用いることで有用な知見を得ることが課題となっている.このようなデータは,各エンティティをノードで,それらの間の関係をリンクで表すようなグラフ構造として表現することができる.また,社会ネットワークや金融ネットワークなどにおいては,各リンクに連続値属性や離散値属性がしばしば対応づけられる.インド料理過程(IBP)と最大エントロピー識別(MED)に基づいたマージン最大化潜在特徴関係モデル(MedLFRM)はネットワークの統計分析に有効な手段の一つである.そのモデルパラメータの推定においては,ベイズ推定を目的関数を最小化することと等価であると見なすことができ,さらに教師ラベルによる誤差を用いることができる.本論文では連続値・離散関係属性付きネットワークに対してMedLFRMを再定義し,それを用いたリンク予測問題に着目する.また,ネットワーク分析において時間依存性を反映するため,前時区間の観測を考慮しつつモデルパラメータを推定する.銀行間取引に基づく金融ネットワークを用いたリンク予測性能に関する実験において,提案手法の有効性を示す.
キーワード†
時系列金融ネットワーク, 潜在特徴関係モデル, リンク予測