外国為替取引におけるプロスペクト理論†
著者†
落合友四郎(大妻女子大学), Jose C. Nacher(東邦大学)
概要†
人間の経済行動には非合理的な行動傾向があることが、行動経済学におけるプロスペクト理論において知られている。この理論では、人は利得している状態の時は損失回避行動をとるのに対して、損失を出している状態の時はリスク選好行動を取ることを示している。今回、外国為替証拠金取引のデータとして、28ヶ月にわたる8万1300人による2800万回の取引データを解析した。そして、この取引の参加者達にもプロスペクト理論から示唆される不合理な投資行動が存在することを示した。さらに、この取引の参加者達を、利益を得ているグループと損失を出しているグループに分類した時、損失を出しているグループの方がより強くプロスペクト理論から示唆される非合理な取引行動をとっていることを示した。
キーワード†
prospect theory, foreign exchange market, behavioral economics