ビットコインにおけるラフボラティリティとラフ取引高†
著者†
高石哲弥(広島経済大学)
概要†
金融資産価格の収益率にはStylized factsと呼ばれる共通に現れる性質があることが知られている。例えば、収益率分布のファットテイル性や絶対値収益率の長期記憶性、ボラティリティクラスタリンなどがある。金融時系列のモデル化ではこのよう性質を再現するようモデル化することが望ましいことになる。ボラティリティの時間変動のモデルとしてGARCHモデルがあり、このモデルはボラティリティクラスタリンの性質を再現することができる。ボラティリティには長期記憶性が現れるのが知られているが、何故そのような性質が現れるのかは解明されていない。一方、ボラティリティの変化率の時系列に注目すると、長期記憶性はなく、ハースト指数が0.5以下の反持続的な(ラフな)時系列となることが知られている。そこで、ボラティリティの変化率を反持続的な性質を持つモデルでモデル化する試みも行われている。このモデルでは、ボラティリティの長期記憶性が示せる可能性があると思われている。本研究は、ビットコイン時系列に注目し、ビットコインの実現ボラティリティを解析し、ボラティリティ変化率に反持続的な性質があるかどうかを実証分析する。また、ボラティリティと取引高や取引数は相関があることから、取引高と取引数の変化率にもボラティリティと似た性質が現れると考えられるので、これらについても分析し、反持続的な性質が現れるかどうかを調べる。
キーワード†
ボラティリティ, 収益率, ハースト指数, 長期記憶性, 仮想通貨, 取引高