LSTMによる時系列予測と株式投資戦略への応用†
著者†
松本健, 牧本直樹(筑波大学)
概要†
株式市場や外国為替市場等における金融時系列データを分析対象とする研究は、金融市場分析の伝統的なテーマの一つである。従来の時系列解析は、ARMAやGARCHといった伝統的な統計モデルアプローチが主流であった。一方、人工知能のアプローチで時系列構造を捉える研究は、近年増加傾向にある。特に時系列データを取り扱うことができるLong Short-Term Memory (LSTM)は長期記憶と短期記憶の両立が可能で、自然言語処理や音声認識の分野では、既に広く活用されている。そこで本研究では、LSTMを利用してTOPIX core30構成銘柄の日次時系列データを対象としたリターン予測モデルを構築し、予測精度を評価する。またロジスティクス回帰、ランダムフォレスト、勾配ブースティング、サポートベクターマシン等の機械学習モデルと比較することで、LSTMの有効性を議論する。さらに、予測モデルを有効活用するための株式投資戦略として分位ポートフォリオを構築し、そのパフォーマンスを評価する。
キーワード†
TOPIX core30構成銘柄, 日次リターン予測, LSTM, 分位ポートフォリオ, 株式投資戦略