日米イールドカーブの連動性を用いた機械学習に基づく日本国債の長期金利予測†
著者†
水門善之(東京大学, 野村證券金融経済研究所), 坂地泰紀, 和泉潔, 島田尚, 松島裕康(東京大学)
概要†
近年,リーマンショックや欧州債務危機に代表される海外発の金融システム不安が,デリバティブ契約等のグローバルな金融取引を通じて,日本の金利市場に大きな影響を与える場面が散見されてきた.この点を踏まえ,本研究では海外市場での金利変動が日本の金利市場に与える影響を検証すると共に,機械学習手法を用いて,海外市場からの影響を考慮した日本市場の金利変動モデルの構築を行った.具体的には,日本国債のイールドカーブの変動を対象として,各種機械学習手法を用いて先行きの予測モデルを構築する際に,米国債のイールドカーブの変動データも学習データとして用いることで,日本の長期金利(長期国債の利回り)の予測精度が向上する傾向を確認した.更に,米国市場のデータを学習に用いた場合に,日本市場の予測精度が向上する度合いが,近年高まっていることも併せて確認した.このことは,海外金利の情報が現在の日本市場の金利予測において有用な情報となることを示唆する結果と言えよう.
キーワード†
Yield Curve, Term Structure Of Interest Rates, Machine Learning, JGB