人工市場を用いた負の売買手数料(リベート)が株式市場に与える影響の調査†
著者†
星野真広(神奈川工科大学), 水田孝信(スパークスアセットマネジメント), 八木勲(神奈川工科大学)
概要†
現在,米国を中心に市場構成の見直しの一環として,メイカー・テイカー制をめぐる議論が活発化している.メイカー・テイカー制は,市場に注文を供給するメイカーにリベート(負の手数料)を支払い,その注文を消費するテイカーから手数料を取る手数料体系である. メイカー・テイカー制は,リベートによってメイカーから多くの指値注文を得て取引所のシェアが高まると言われてるが,市場にどのように影響を与えるのか良くわかっていない. そこで本研究では,リベートの金額を変化させ,メイカー・テイカー制が市場とテイカーの平均購入価格に与える影響を分析し,メイカー・テイカー制の利点と欠点のトレードオフを検証した. その結果,メイカー・テイカー制は効率的な市場を形成するが,その弊害としてテイカーの平均購入価格が上昇することがわかった.
キーワード†
人工市場, マルチエージェントシステム, エージェントシミュレーション, メイカー・テイカー制, ファイナンス, 金融市場