多相アテンションLSTMを用いた財務時系列データの予測†
著者†
吉見脩平(神戸大学), 江口浩二(広島大学), 金京拓司, 羽森茂之(神戸大学)
概要†
近年、多変量時系列データの重み分布を学習して時空間構造の特徴表現能力をさらに強化するような、アテンションに基づく再帰型ニューラルネットワーク(RNN)による手法が広がりを見せつつある。とりわけ最新の研究では、同時に起こる複数の時系列の空間的相関と、時間的に異なる複数の時系列の時間的相関を捉えるアテンション構造を仮定することで、より良い予測を実現する手法が提案されている。そこでは多変量の説明変数の1サンプルもしくは単変数の多サンプルに対して適用されており、多変量の説明変数かつ多サンプルに対する予測手法は我々の知る限りまだ研究されていない。そこで,本研究では、多変量の説明変数を持つ多サンプルの企業財務時系列データを対象に、アテンション付き長・短期記憶ネットワーク(LSTM)に基づく新たな予測手法の実現を図る。さらに、企業の経営状態に加えて、業界の動向や社会の景況感のデータを適切に捉えた新たなモデル構造を提案する。投資や経営判断で広く用いられるROAを予測対象の目的変数をとした企業財務データの分析を行う。
キーワード†
再帰型ニューラルネットワーク, 長・短期記憶ネットワーク, アテンション機構, 財務時系列