確率的にホールドの長さが決まる人工市場モデル†
著者†
片平啓(筑波大学), 陳昱(東京大学), 秋山英三(筑波大学)
概要†
本研究では、人工市場モデル「投機ゲーム」を洗練化した「Self-organized Speculation Game(SOSG)」をさらに単純化し、パラメータの数を減らした軽量モデル「Pure Random Speculation Game(PRSG)」を構築した。PRSGのプレーヤーは、戦略テーブルの代わりに、確率に従ってホールドの長さを決める。したがって、PRSGでは、往復取引が「形式的に」なされるが、volatility clusteringなどの基本的なstylized factsが創発する。また、SOSGと同様に、市場規模も自発的に定まる。しかし、asymmetry in time scalesなどの高次のstylized factsについては、PRSGでは再現されない。高次特性の消失には、価格変動の時間構造に投機的パターンが見られないことが関連していると考えられる。
キーワード†
Stylized facts, 人工市場モデル, Self-organized Speculation Game, 投機的パターン