人工市場を用いたショートサイドの市場非効率性に関する分析†
著者†
則武誉人, 逸見龍太(三井住友DSアセットマネジメント), 水田孝信(スパークスアセットマネジメント)
概要†
人工市場モデルを用いて、約定価格がファンダメンタル価格を上回るショートサイド(割高)の非効率性はどのような要因で顕在化するかを分析した。エージェントが出す買いと売りの注文数量に差を設け、買いの数量に対して売りの数量を小さくした場合は、市場非効率性のうちショートサイドの内訳がロングサイド(割安)のそれを上回った。一方で、エージェントの注文価格の決定に用いられるファンダメンタル価格を緩やかに上昇させた場合は、ショートサイドの内訳がロングサイドのそれを上回ることは確認できなかった。また、ショートサイドの市場非効率性が顕在化するメカニズムは、ファンダメンタル価格から一定の範囲で板に提示される売注文の数量が買注文と比べて少なくなり、買注文によるマーケットインパクトが大きくなることで、最良売気配の価格がファンダメンタル価格から乖離することを議論する。
キーワード†
人工市場, マルチエージェントシミュレーション, 金融市場