Thompson Samplingを用いた複数ポートフォリオの合成戦略†
著者†
藤島圭吾(東京大学), 中川慧(野村アセットマネジメント)
概要†
平均分散ポートフォリオは、ポートフォリオ構築もしくは資産配分等の目的で実務において最も使用されてきた。しかしながら、パラメータ推定誤差等の問題点のために事後的には平均分散の意味で効率的なポートフォリオとはいえず、実際、リスクベース・ポートフォリオや等ウェイトポートフォリオなどのヒューリスティックな戦略のパフォーマンスがより良好であることは既に広く実証されている。これらのポートフォリオのうち最も効果的と考えられるものを、市場の動向などを鑑みて選択することは一般に困難である。加えて、複数のポートフォリオを効果的に合成することでより安定したパフォーマンスを生み出す方法は、未だ十分に検討されていない。そこで本研究では、複数のヒューリスティックなポートフォリオの選択を多腕バンディット問題とみなし、複数のポートフォリオを適切な比重で合成する手法の提案を行う。具体的には、先行研究にて提案されたThompson Samplingを用いて2つのポートフォリオの合成比率を決定する手法を、複数のポートフォリオの合成が可能なように拡張する。実際に、代表的なベンチマークデータを用いて構築したポートフォリオによる実証分析を行った結果、提案手法は良好なパフォーマンスを示した。
キーワード†
ポートフォリオ, ブレンド, 平均分散ポートフォリオ, ヒューリスティック, 合成, 多腕, バンディット, bandit, トンプソンサンプリング, Thompson Sampling