EC物流における商品ポートフォリオ最適化†
著者†
小池和弘, 宮澤典友, 町田賢一, 川村真澄 , 竹中一晃(アスクル), 佐川大志, 田中謙司(東京大学)
概要†
商品を仕入れて倉庫に在庫し,ネットで注文を受けて出荷する形態のEC物流ビジネスにおいて,期待する収益を上げるために取扱商品の中から在庫する商品を選択し組み入れ比率を決定する問題は解くべき根本問題である. ECで取り扱う商品数nは数百万以上になることもあり,組合せ数はnの階乗オーダーで爆発的に増えるため,有限時間で良解を発見するのは困難である. この問題をポートフォリオ最適化問題として定式化し最適解あるいは良解を得るためにマーコウィッツの平均・分散モデルを用いた. 通常は株式の分散投資に使われる平均・分散モデルをEC物流に適用した動機は,このモデルが非常に簡明なモデルであり,期待値とその分散によって得られることから,EC物流におけるLTV,売上,在庫コストなどの指標のモデル化にも適用可能と考えたからである. 物流においては需要の変動をなるべく緩和し平準化した方が在庫管理や物流コストをコントロールし易い. 変動はコスト上昇につながり易いので,変動をリスクと考える平均・分散モデルはEC物流にも馴染みやすい. 本研究では実際のEC物流データを用いて平均・分散モデルを構築し,販促と売上のリフト効果,在庫コストへの影響などの分析に有効であることを検証したので報告する.
キーワード†
現代ポートフォリオ理論, 平均・分散モデル, EC物流