Neural Fractional SDE-Netによる低正則パスを持つ金融時系列生成†
著者†
林 晃平(東京大学), 中川 慧(野村アセットマネジメント株式会社)
概要†
株価や経済指標などの金融時系列は,一般に長期記憶性や不確実性など,単純なモデルでは再現の難しい特徴を持つことが観測されており,このことは金融市場の複雑性を反映していると考えられる.一方,このような金融時系列は実データであるためサンプル数が十分でなく,しばしば観測データを用いた定量的な分析を困難にする.本研究の目的は,このような複雑性を持つ時系列を機械学習の手法を用いて人工的に生成することである.これにより,より現実に近い様々な市場局面を大量に生成することができ,投資戦略のストレステストや,経済指標を用いた分析・リスク管理等を効果的に行うことが可能となる.特に,本発表では標準Brown運動よりも正則性の低い極めて「ラフな」パスが観測されているボラティリティを対象にし,非整数階Brown運動を用いた生成手法であるNeural fractional SDE-Netを用いて元データの特性を再現することを目指す.
キーワード†
"時系列生成, 機械学習, 非整数階Brown運動, ラフ・ボラティリティ"
論文†
(J-Stageにて公開する予定です)