金融市場での注文流の長期記憶性はどのように定量的に計測するべきか?†
著者†
佐藤 優輝, 金澤 輝代士(筑波大学)
概要†
多くの金融市場では経験的に,一度買い(売り)注文が観測されるとしばらく連続して買い(売り)注文が継続的に観測される傾向があり,売買符号の自己相関関数は遅い減衰(べき減衰)を示す.本性質は「注文流の長期記憶性(long memory, LM)」と呼ばれており,減衰を特徴づけるべき指数は,LMの強さを定量化する指標として重要視されている.しかし,べき指数を実際に測定する場合,その推定精度は統計手法に強く依存するという問題点がある[E. Akyildirim et al. (2019)].そこで本発表では,注文流のLMのべき指数の推定精度を複数の手法を用いて比較検討する.そして,どの統計手法が現時点で最良だと考えられるかを考察する.
キーワード†
"長期記憶性, 注文流, マーケットマイクロストラクチャー"
論文†
(J-Stageにて公開する予定です)