非線形ホークス過程の漸近解析と強度のべき分布†
著者†
金澤 輝代士(筑波大学), Didier Sornette(ETH Zurich)
概要†
近年,金融市場では詳細なイベントデータが活用できるようになり,従来の時系列解析の枠組みを超えて,注文流を点過程(point process)として数理モデル化する研究が盛んに行われている.特にホークス過程と呼ばれる自己励起性を取り入れた点過程モデルが,注文流モデリングに有用であることが近年わかってた.実際,適切な非線形性を取り入れることで市場の様々な経験則を整合的に再現することができる.しかし,非線形ホークス過程は非線形性をもつ非マルコフ過程であり,今まで数学的な性質を調べることが技術的に難しいという問題点があった.そこで本研究では,場の理論を用いた新しい確率解析の手法を用いて,非線形ホークス過程の漸近解析を行う.具体的には,非マルコフ過程をマルコフ場の理論に埋め込むことによって場のマスター方程式を導出し,その漸近挙動を解析した.その結果,非線形ホークス過程の強度分布は殆どの場合べき分布に従うことが分かった.
キーワード†
"注文流モデリング, 点過程, 非線形ホークス過程, べき分布"
論文†
(J-Stageにて公開する予定です)