人工市場を用いた分散投資規制が資産価格急落時の市場に与える影響分析†
著者†
野崎淳(神奈川工科大学大学院 情報工学専攻),八木勲(神奈川工科大学 情報学部),水田孝信(スパークス・アセット・マネジメント株式会社)
概要†
投資信託の取引において,投資家が想定外のリスクを負うのを未然に防ぐため,2014年12月より分散投資規制という規制が設けられることとなった.分散投資規制は,1つの発行体への投資が過度に集中しないよう,1つの発行体への投資額を投資信託純資産の一定割合以下にするものである.分散投資の是非についてはこれまでに多くの実証研究がなされているが,分散投資に制約が設けられることによって市場の価格形成にどのような影響が与えられるか議論されたことはない.そこで,本研究では,2資産市場の人工市場にまだ分散投資していない資産(資産3)を追加し,ある資産の価格が急落したときに分散投資規制が市場にどのような影響を与えるかを,純資産に対する全資産保有額の下限がある場合とない場合に分けて調査した.
キーワード†
人工市場,マルチエージェントシミュレーション,分散投資規制,レバレッジ,金融市場